フォークリフトの3種類の自主検査とは? 有資格者が行う検査はどれ?


小回りがきいて、荷物の上げ下ろしに便利なフォークリフト。
重宝している会社も多いことでしょう。
しかし、フォークリフトが事故を起こせば大きな被害が出やすいです。
ですから、フォークリフトは法律で定期的に自主検査をするように定められています。
そこで、今回はフォークリフトの自主検査についてご説明しましょう。
資格がある人が行わなければならない検査と、資格がない人でも行える検査の違いはなんでしょうか?
また、効率的に検査を行うやり方もご紹介します。
フォークリフトを日常的に使っているという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

目次

  1. フォークリフトの自主点検とは?
  2. 労働安全衛生法によって定められた自主検査の種類とは?
  3. 特定自主点検を行える資格とは?
  4. 自主点検を行うメリットとは?
  5. フォークリフトの点検を効率的に行うには?
  6. おわりに

1.フォークリフトの自主点検とは?

フォークリフトは、車の前面につめがついた荷役自動車の一種です。
小回りがきいて重い荷物の上げ下ろしも楽に行えるので、重宝している会社も多いでしょう。
また、最大積載荷重1t未満のフォークリフトであれば、事業者が「特別教育」を行えば運転することができます。
ですから、私有地内であれば普通自動車の免許がなくても運転できるのです。
しかし、フォークリフトのような荷役自動車は、事故を起こす可能性が普通の自動車よりも高いでしょう。
また、トラックなどほかの荷役自動車と違って車検を受ける義務もありません。
その代り必要なのが定期的な「自主点検」です。
これは、「労働安全衛生法」によって定められているもので違反すると50万円以下の罰金が科せられます。

2.労働安全衛生法によって定められた自主検査の種類とは?

フォークリフトの自主点検には、3つの種類があります。
この項では、フォークリフトの自主点検の種類についてご説明しましょう。

2-1.特定自主点検(年次点検)

1年に1回義務付けられている自主点検です。
これは、有資格者や有資格事業者に依頼して行わなくてはなりません。
車検と同じように、フォークリフトの隅々まで点検します。
台数が多い場合は1日で終わらないこともあるので、代車を用意してくれる業者もあるでしょう。
また、無事に点検が済むと済標章をもらえます。
フォークリフトに貼っておきましょう。

2-2.定期自主点検(月次検査)

フォークリフトを日常的に使用している会社は、1か月に1度は自主点検を行わなくてはなりません。
検査項目は、

  • 制動装置やクラッチおよび、操縦装置の異常の有無
  • 荷役装置および、油圧装置の異常の有無
  • ヘッドガードおよび、バックレストの異常の有無

の3つです。
この検査は、有資格者でなくても行えます。
異常が見つかった場合は、すぐに修理に出しましょう

2-3.始業前点検

こちらは、毎日始業前に行う点検です。
フォークリフトは毎日重い荷物を運んでいます。
ですから、使用状況によっては急速に劣化が進むこともあるでしょう。
使用中にフォークリフトが壊れたり、制御不能になったりした場合は大事故につながります。
毎朝使用する前に

  • 制動装置および、操縦装置の機能
  • 荷役装置および、油圧装置の機能
  • 車輪の異常の有無
  • 前照灯・後照灯・方向指示器及び警報装置の機能

を確認しましょう。
異常があった場合は使用せず、改めて修理業者などに点検を依頼してください。

3.特定自主点検を行える資格とは?

特定自主点検は、専門の業者に依頼するか「事業内検査者」の有資格者が行わなくてはなりません。
この資格は、公益社団法人・建設荷役車両安全技術協会が主催する研修を受講すれば取得できます。
フォークリフトだけを自主点検すればよいのなら、5.5時間の研修を受ければよいでしょう。
検査にかかる費用を少しでも節約したいという場合は、従業員に資格を取得してもらい事業所内で検査を行う方法もあります。
ただし、異常が見つかった場合は業者に修理に出さなくてはなりません。
特定自主点検を行う業者の中には、点検費用と代車代がパックになったプランを用意しているところもあります。
ですから、使用頻度が高くフォークリフトの劣化が早い場合は、業者に点検と修理をお願いしたほうがよいケースもあるでしょう。

4.自主点検を行うメリットとは?

では、自主点検を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか?
この項では、自主点検を行うメリットをご紹介します。

4-1.事故を未然に防ぐ

自主点検を行う最大のメリットはこれでしょう。
フォークリフトは運転者がむき出しの状態です。
ですから、フォークリフトがどこかにぶつかれば投げ出されますし、転倒すれば大けがを負いやすいでしょう。
また、フォークリフトは重い荷物をつめに乗せて上げ下げします。
そのときにバランスを崩して倒れたり、つめが折れたりしても大事故につながるでしょう。
自主点検をしっかり行っていれば、このような事故を未然に防げます。
特に各部品の劣化は、運転していても気づかない場合が多いでしょう。

4-2.フォークリフトの寿命が延びる

フォークリフトにも寿命があります。
使用頻度が高ければ、寿命は短くなりがちでしょう。
しかし、自主点検をしっかりと行ってメンテナンスをしていれば、フォークリフトは長持ちしやすいです。
フォークリフトは高価ですから、「少しでも長く使いたい」と考えている方は多いと思います。
毎日の点検は面倒ではありますが、こまめな点検がフォークリフトの寿命を延ばすと考えてください。

5.フォークリフトの点検を効率的に行うには?

事業所によっては「毎朝フォークリフトを点検するなんて、忙しくて無理」ということもあるでしょう。
しかし、忙しいからとフォークリフトの点検をさぼっていると、事故も起こりやすくなります。
でも、フォークリフトを何十台も使っている事業所では、点検に時間がかかる場合もあるでしょう。
そこで、フォークリフトの点検を効率的に行うために、チェックシートを利用しましょう。
これを使えば点検内容も一目でわかりますし、点検後の確認も簡単です。
チェックシートを配布しているサイトも多いですから、欲しい方は「フォークリフト 点検表」で検索してみましょう。
すぐにヒットするはずです。
また、毎日点検を行っていると慣れが出て、チェックがいい加減になることもあります。
ですから、毎回同じ人がチェックするのではなく、当番制にするとよいですね。
Aさんが見逃していた異常を、Bさんが発見するかもしれません。
また、たくさんのフォークリフトを使用している事業所は、事業内検査者の資格保有者がいるとなにかと便利です。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回はフォークリフトの自主点検についてご説明しました。
まとめると

  • フォークリフトは、定期的に自主点検をするように労働安全衛生法で定められている
  • 特定自主点検の場合は、有資格者か有資格事業者が点検を行わなければならない
  • 1か月ごとや毎日行う自主点検は、無資格者でも行える
  • 自主点検を行わないと、50万円以下の罰金を科せられる
  • 自主点検は事故を防止し、フォークリフトの寿命を延ばす

ということです。
フォークリフトは小型ですが、れっきとした車両。
いい加減な使い方をしていたりメンテナンスを怠ったりしていれば、大事故につながるでしょう。
事故を起こした場合は、労働基準局の検査が入ります。
そこでフォークリフトの点検不備が発覚した場合、事業主は罰則が科せられるでしょう。
毎日フォークリフトを使っていると、つい「1日くらい点検をしなくてもいいか」という気持ちになりやすいです。
しかし、事故が起きてから後悔しても遅いでしょう。
毎日点検していれば、異常も見つけやすいです。