知っておきたい! フォークリフトの事故対策


工場や倉庫でよくみられる「フォークリフト」。
アメリカで開発された荷役自動車であり、腕(フォーク)を使って荷物を上下させ、自由に運ぶことができるのが特徴的となっています。
職場でよく扱う人もいるのではないのでしょうか。
しかし、最近、フォークリフトの事故が増加傾向にあります。命に関わる事故も起きているのでできるだけ事故を起こさないように操作していかなければなりません。
フォークリフトの死亡事故・事故例、事故防止、事故統計、労働災害などさまざまな視点からみていきたいと思います。
フォークリフトを扱うことが多い人は要チェックです。

1.フォークリフトでどのような事故が起きているの?

フォークリフトで起こった死亡事故

実際に起こったフォークリフト死亡事故をひとつ紹介します。
いつもごく普通にフォークリフトを操作していました。荷物をフォークリフトで置くとき、目の前に人がいることも知らずそのまま操作を続行。そして、そのままフォークリフトにぶつかった人は荷物の下敷きになってお亡くなりになったそうです。
このように、フォークリフトを数年乗りこなしている人でもちょっとした確認ミスで事故を引き起こすことはあるようですね。
フォークリフトの事故は意外と多いものです。挟まれてしまったり、下敷きになることもあり、圧迫で命まで失ってしまう事例もよく聞きます。
フォークリフトで運ぶ荷物は人では運ぶことができないものばかりです。ものすごく重たい荷物でも軽々と運ぶことができますが、人が挟まり下敷きになってしまうとひとたまりもないでしょう。くれぐれも注意して前後左右確認しておかなければなりません。

荷崩れによるフォークリフトの事故例

フォーリフトは高い位置にある荷物を取り、置くことができます。
よって、少しでも位置がズレてしまうと荷崩れを引き起こしてしまう恐れがあるのです。荷物がそれほど高く積まれていなくても近くに人がいれば大変なことになってしまいます。
また、高く積まれている場合は大惨事を引き起こしかねないでしょう。荷崩れは、フォークリフトと荷物の重心が大きなポイントになってきます。重心が少しでもおかしくなってしまうとそれだけで変な角度に荷物を積んでしまい、フォークリフトも不安定なまま操作することになります。
荷崩れを引き起こさないためにはフォークリフトを操作する人のテクニックや注意が欠かせません。
また、荷物の近くには人がいないことを確認し、フォークリフトに乗っていない人も事故を引き起こす範囲内に入らないように注意が必要ですね。

パレットの転落事故

最近、フォークリフトの事故例でも多くなってきているのが、「パレットの転落事故」です。
フォークリフトのパレットに人が乗り、作業をすることもあるでしょう。そのパレットから誤って転落してしまい、大怪我を負ってしまう人が増加しています。
なぜそのような事故が起きるのか事例をひとつ挙げてみましょう。
パレットに乗った人が高いところにあるシートを剥がそうとしたところ、シートが作業台に引っかかってしまいました。そこで、フォークリフトをいったん後ろに下がらせて取り除こうとしたようです。フォークリフトが後ろに下がったとたん、パレットが傾きそのまま乗っていた人が転落してしまいました。
フォークリフトを操作していた人とパレットに乗った人の合図はちゃんとしていたのに、なぜ転落事故を引き起こしてしまったのか…。
これはフォークリフトの作業についての知識不足が原因だと考えられます。高いところで作業するための知識、対応を身につけていなかったためにこのような事故が起こってしまいました。

2.フォークリフトでの事故を防ぐために

安全確認は大切!

フォークリフトを操作する人も、フォークリフトの近くで作業をする人も一緒に「安全確認」をしておかなければなりません。
つい、日常的なことだからと安全確認を怠ってしまいがちになります。
フォークリフトでの事故でも多い「人との接触事故」は安全確認をしていなかったせいで引き起こされているのがほとんどです。荷物を受け取る、置くまえに周囲に人がいないかどうか確認してください。
また、フォークリフトに乗っていない人も自分の作業に集中するだけでなく、周囲にフォークリフトがいないかどうか常に確認しておくことも大切です。
安全確認は大惨事を引き起こさないために重要なことでもあります。毎日することでも常にチェックしておきたいですね。

荷物の正しい積み方・重心位置をチェックしよう

フォークリフトでの事故を防ぐためには、「荷物の正しい積み方」「重心位置」を把握しておかなければなりません。
重心が傾いてしまうと荷物の置き場所もおかしくなってしまい、途中で積む方向が異なってきてしまいます。傾いていることに気付かなければいつか絶対に積み重ねた荷物が崩れてしまうことは間違いありません。荷物を正しく積んでいかなければ事故は必ず起きます。
そのためにもフォークリフトの基本的な操作はもちろんのこと、正しい荷物の積み方・重心位置はしっかりと覚えておいてください。
フォークリフトを初めて扱う人はなかなか感覚を掴みにくいと思いますが、慣れてくれば次第にコツを掴むことができます。最初はフォークリフトを乗りこなしているベテランの人の操作をみて、教えてもらってください。
また、事故防止のために近くにいる作業員を誘導にまわす方法もオススメです。

定期的にフォークリフトの点検・検査をすること

フォークリフトの事故には、フォークリフトそのものに問題があるケースもたくさんあります。
フォークリフトが操作をしてもいい環境ではなかったためにカーブでフォークリフトそのものが横倒しになってしまい、近くにいた人が下敷きになるという死亡事故もあるのです。
そのような事故を引き起こさないためにもフォークリフトを月に1回は点検しておかなければなりません。
タイヤがすり減っていないかどうか、整備はきちんと確認されているかどうか扱うまえにチェックしておきましょう。
定期的な点検も必要ですが、毎朝のチェックも欠かせません。
最近は、「無免許運転」も増えてきています。人手が足りないから免許をもっていない人にやらせたことで事故を引き起こしてしまうこともあります。後悔をしてもすでに遅いことです。死亡事故が起きたらなおさらのこと後悔してしまうでしょう。
事故防止のためにも絶対に無免許の人に任せないこと、毎朝整備をチェックすることを忘れないでくださいね。

3.フォークリフトの事故統計をチェックしてみよう

フォークリフトを使う業種別での統計

製造業・運輸交通業・商業・建設業・貨物取扱業・清掃業・農業とさまざまな業種でフォークリフトは使われます。
このなかでもとくにフォークリフトの事故が多いのは、“製造業”です。そして、次に運輸交通業となっています。
製造業は主に工場での作業となり、フォークリフトで荷物を移動させることが多いはずです。なんとおよそ45%が製造業となっています。
フォークリフトを扱う場所が多いところほど事故の数が増えているので、そのような場所で働いている人は気をつけてください。
たとえ、フォークリフトを扱うことがない人でも接触事故の危険性があるので要注意です。

死亡災害の内容

フォークリフトにおける死亡災害の内容はどのようなものが多いのでしょうか。事故への関心を高めることも大切なのでぜひチェックしておいてください。
死亡災害の内容について調べてみると以下のようになりました。

  • 1位:巻き込み・挟まれ事故
  • 2位:接触事故
  • 3位:フォークリフト転倒事故

このようなランキングとなっています。フォークリフトの死亡事故で1番多いのが、挟まれた・巻き込まれたといった内容です。フォークリフトに挟まれ、巻き込まれてしまったことで死亡してしまうケースが増えています。これは主に「安全確認」がされていなかったことが原因でしょう。
いつもと同じように操作していることから“まさかこんなことには…”と思う人が多いのです。慣れてきてしまうと安全確認を怠ってしまうでしょう。
フォークリフトでも車と同じです。ベテランでもしっかり確認すべきところは確認して作業をすることをオススメします。

4.まとめ

フォークリフトの事故についていろいろな視点からみてきました。
フォークリフトを扱う人にとって、具体的な事故例を知ることでより事故への注意を高められたと思います。

  • 死亡事故を引き起こす危険性もある
  • 転落事故や荷崩れ事故が多発している
  • 事故防止で1番大切なことは「安全確認」
  • 重心、正しい荷物の積み方をマスターすること
  • 扱うまえに必ず点検をすること
  • 製造業におけるフォークリフト事故が多い

今までの説明から以上の6点が注目してほしいポイントです。
フォークリフトの事故を防ぐためには「安全確認」が1番大切なこととなります。安全確認を怠っていた所為で事故を引き起こしてしまうケースが増えてきているのです。
そして、フォークリフトは重心をしっかりもっていなければすぐに転倒してしまったり、荷崩れを引き起こす危険性もあります。フォークリフトを上手に操作するためにも、コツを扱いが上手い人から盗んでいきましょう。
また、フォークリフトの事故統計から労働災害は製造業がもっとも多いとわかりました。フォークリフトを扱う場所であればあるほど慎重に操作していかなければなりません。事故を未然に防ぐために、フォークリフトを扱う人はフォークリフトへの注意を高め、正しい方法で扱うこと。そして、フォークリフトを扱わない人も周囲への安全確認やフォークリフトの誘導をおこなっていくことが大切になります。
たとえ、車よりもサイズが小さくても「荷役自動車」のひとつです。
車と同じものだということを常にもっておいてください。安全に働くためにも意識は大切です。